優等生のディープインパクト、暴れん坊オルフェーブル。オルフェーブルの気性の難しさは父ステイゴールド譲りでもあります。やんちゃな、そして人を惹きつけてやまないレースを展開したオルフェーブルの血統と期待の産駒を見てみましょう。

オルフェーブルの血統は?

「気性の荒さ」と「気持ちの強さ」で人気を集めた父ステイゴールド

オルフェーブルの父、ステイゴールドは父・サンデーサイレンス、母・ゴールデンサッシュで、母の父はフランスのジャック・ル・マロワ賞(G1)を勝利したディクタスという良血でしたが、自身の競走生活は順調ではありませんでした。未勝利を勝ち上がるのにデビューから6戦かかり、3歳ではすいれん賞(500万下)、やまゆりS(900万下)を勝利し、それ以降3年間堅実に走ったものの、1勝もできませんでした。善戦マンのステイゴールドを「ステイシルバー」と揶揄する人もいたのです。その後6歳で目黒記念(G2)をようやく勝利。7歳で香港ヴァーズ(G1)で勝利して現役最後のレースで現役初のG1勝利を獲得したのでした。
ステイゴールドがなかなか勝てなかったのは気性の荒さに原因があるといわれています。長くステイゴールドの主戦を務めた熊沢重文騎手は調教の時に何度も振り落とされたといいます。そして、悪さはしても年齢を重ねるとともに上手く収まる賢さを持っており、オルフェーブルも同じように見えるとコメントしています。
ステイゴールドの現役時代、馬房のそばを人が通ると怒って襲いかかろうとするため、馬房の扉をいつも閉めていました。オルフェーブルも体調が良い時、馬房のそばを人が通ると威嚇するしぐさがあり、こうしたステイゴールドの猛々しさをオルフェーブルも引き継いでいるのでしょう。
ステイゴールはドバイの輸送でカイバ食いが悪く見た目にもガレてしまっているにも関わらずドバイシーマクラシック(G2)で勝利したように、体調が悪くても気合(?)でカバーするという精神面の強さが評価されています。オルフェーブルも阪神大賞典(G2)の逸走、続く天皇賞春(G1)10着の後の宝塚記念も、池江泰寿調教師いわく「7割以下の出来」であったにもかかわらず勝利したことからもステイゴールドの気持ちの強さを受け継いでいると言えるでしょう。

ノーザンテーストが奇跡の血量でインブリード

オルフェーブルの母・オリエンタルアートは父メジロマックイーン、母エレクトロアートで、G1 3勝しているドリームジャーニーや若駒S(OP)を勝利したリヤンドファミユなどを産んでいます。父メジロマックイーンは天皇賞春などG1 4勝しているステイヤーでした。
また、エレクトロアートの父はノーザンテーストで、ノーザンテーストはオルフェーブルの父方の4代前にも出現しています。父方4代前と母方3代前にノーザンテーストがいるという、いわゆる「奇跡の血量」と呼ばれるもので名馬を数多く輩出している配合なのです。
ノーザンテーストが種牡馬として数々のG1馬を輩出したようにオルフェーブルにもスーパーサイアーの期待がかかります。

オルフェーブル産駒の期待株は?

オルフェーブルの初年度産駒は2015年生まれ。デビューは早くとも2017年になりますが、注目の産駒をご紹介しましょう。

ビワハイジの2015(牝・栗毛)

ビワハイジは自身も現役時代に阪神3歳牝馬S(G1)を勝利。繁殖牝馬としてもジャパンC(G1)を制した最強牝馬ブエナビスタ、阪神ジュベナイルF(G1)を勝利したジョワドヴィーヴルなど、産駒6頭が重賞勝ちをしています。ビワハイジの父カーリアンはイギリス・アイルランドで2回リーディングサイアーになりました。ビワハイジはこの仔を最後に繁殖牝馬を引退。ビワハイジファンにとっても感慨深い馬となりました。オルフェーブルを彷彿とさせる明るい栗毛でしなやかな筋肉を持つ馬体。これからが楽しみです。

シンハリーズの2015(牡・栗毛)

シンハリーズはオークス(G1)馬のシンハライトを含む重賞馬3頭を産んでいる優秀な繁殖牝馬です。自身もアメリカでデルマーオークス(G1)を勝利。また、アメリカンオークス(G1)ではシーザリオと対戦し、シーザリオが優勝、シンハリーズが3着という結果でした。父シングスピールはジャパンC(G1)を始めとしてドバイ、カナダなど5か国で出走し、G1 4勝を収めています。ジャパンC(G1)に出走時は発熱しているにもかかわらず、強豪を抑えて勝利し、一気に評価が高まりました。この仔の一口馬主の募集金額はなんと総額1億2,000万円。馬主キャロットファームでは同年最高額となっています。まだ種牡馬として実績がないオルフェーブル産駒にこれほどの高値がついたということで期待も高まります。

マルペンサの2015(牝・鹿毛)

マルペンサは現役時代にアルゼンチンでG1を3勝しています。父オーペンはフランスでモルニ賞(G1)を勝利しています。マルペンサの日本での初仔はサトノダイヤモンドできさらぎ賞(G3)を勝利しました。マカヒキディーマジェスティリオンディーズなど牡馬豊作の年にあって激戦の皐月賞(G1)3着、ダービー(G1)2着と健闘しています。この仔はマルペンサ3頭目の産駒ですが、サトノダイヤモンドに続き飛躍することができるか注目です。

レーヴドスカーの2015(牝・栗毛)

レーヴドスカーは現役時代フランス・サンタラリ賞(G1)に勝利。同じ年ジャパンC(G1)にも出場し7着に終わっていますが、それ以前はフランスのG1を2着3回と惜敗が続きました。父ハイエストオナーはフランスのイスパーン賞(G1)を勝利。同年最優秀古牡馬に選ばれています。
レーヴドスカーの産駒は、阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)に勝利したレーヴディソールを含む3頭が重賞勝ち。そのほかの馬もオープン馬2頭もおり、なんとレーヴァテインまでの産駒すべて未勝利を突破しています。この偉大な母から産まれた馬に期待が集まります。

キストゥヘヴンの2015(牝・栗毛)

キストゥヘヴンは2006年の桜花賞(G1)馬です。父アドマイヤベガはサンデーサイレンスと桜花賞(G1)・オークス(G1)に勝利したベガの産駒で、ダービー(G1)を勝利しています。母方の祖父はノーザンテーストという良血です。残念ながらこれまでのキストゥヘヴン産駒はあまり活躍していませんが、この仔はオルフェーブル似の美しい栗毛とバランスの良い馬体で今後も期待です。

スイープトウショウの2015(牡・栗毛)

まさに「怪物配合」の仔。スイープトウショウは現役時代は気性難で有名で、主戦を務めた池添謙一騎手によると、調教に行く途中の馬道で突然動かなくなり、ずっとそのままということが度々あったということです。しかし、走り出したらとても素直で秋華賞(G1)、宝塚記念(G1)、エリザベス女王杯(G1)に勝利するなど、偉大な成績を残しています。父エンドスウィープは現役時代アメリカやカナダで走り、ハイランダーステークス(G3)などで勝利しました。2000年に種牡馬として日本に来ましたが、2002年に死亡したため産駒は3世代しかいません。にもかかわらず、桜花賞(G1)・NHKマイルC(G1)変則2冠のラインクラフトやドバイデューティーフリー(G1)、宝塚記念(G1)、ジャパンC(G1)を制したアドマイヤムーンなどG1馬を輩出しています。スイープトウショウ自身の産駒は今まであまり活躍していませんが、オルフェーブルとの化学反応が楽しみです。

オルフェーブル初年度産駒154頭中半数近くが栗毛となっており、オルフェーブルの遺伝の強さを感じさせます。オルフェーブルは栗毛で初の三冠馬となりましたが、父を超える馬が出てくることを期待しましょう。