往年の競馬ファンにイケメンの馬は?と聞けば、必ずや「トウカイテイオー」の名前が返ってくるでしょう。オトコも惚れる牡馬の中の牡馬トウカイテイオーのイケメンぶりを語りましょう。

魅惑の容姿

トウカイテイオーの実力もさることながら、流麗な容姿も人々を虜にしました。バランスのよい精悍な馬体と、「馬面」などと絶対言ってはいけないような小さな顔。なによりも顔にファサッとかかる前髪が美しく、また、前髪の間から見える思慮深く、気品あるまなざしが「貴公子」と呼ばれる所以でした。トウカイテイオーが生まれた長浜牧場の長浜恵美子氏は生まれた直後から気品が感じられたとコメントしています。
種牡馬入りした後も見学にくるファンのために種牡馬の配慮でイメージを壊さないように前髪は長めに切りそろえていました。
そのイケメンぶりをテレビ界が放っておくはずはありません。パナソニック大型テレビ「画王」のCMキャラクターとしても採用され、競馬ファンの域を超えた人気を集めました。

独特の美しい歩様

また、歩き方の美しさにも定評がありました。身体が柔らかく、騎乗した人は誰もが「乗り心地がよい」と感嘆しました。その柔らかさは歩き方にも現れ、歩くたびに関節がやわらかく動くので「ネコのように歩く」とも言われました。その柔らかさが騎乗した岡部幸雄騎手や田原成貴騎手は「フワフワして力強さが足りない」と不評でしたが、後に田原成貴騎手は車に例えて「ポルシェにベンツを取り入れたらポルシェの良さを失ってしまう」とコメントしてトウカイテイオーの柔らかい脚さばきを評価しています。

周りから愛される気質

父シンボリルドルフについて、圧倒的な強さ故の冷たい印象や、判官びいきの日本人ならではのネガティブなイメージを持つ人もいました。しかし、トウカイテイオーは温かい雰囲気を持ち、人懐っこい一面もあると言われていました。騎手からも愛されており、最初に騎乗し、ダービーまでの6戦騎乗した安田隆行騎手は、その後岡部幸雄騎手に乗り替わった時に「普通なら悔しくて負けちゃえと思うが、トウカイテイオーにはずっと勝ち続けてほしかった。それだけ愛せる素晴らしい馬」とコメントしています。このようにトウカイテイオーを愛した安田騎手はファンからも愛され、トウカイテイオーの引退式ではひときわ大きな拍手が送られました。

強さと弱さを併せ持つ悲劇の馬

そして何より人々を魅了したのは、傷だらけの身体で奇跡的によみがえるという、悲劇的でドラマチックな競走生活でしょう。ダービーに勝利して菊花賞取れば3冠というところで左第3足根骨骨折し、全治6か月。復活後産経大阪杯(G2)で勝利をおさめますが、無敗のまま迎えた天皇賞(春)で5着に敗れた10日後に右前脚の剥離骨折が判明し、春シーズンの休養を余儀なくされました。休養明けからいきなり天皇賞(秋)に出走し、7着に終わりましたが、次走のジャパンCでは並みいる外国産馬を制して勝利。復活ののろしを上げますが、有馬記念を11着と惨敗します。翌年、左前トウ骨の剥離骨折が判明し、三度目の休養。復帰戦はなんと364日ぶりのレースとなる有馬記念となりました。ビワハヤヒデレガシーワールドウイニングチケットなど強豪がそろい、鞍上の田原成貴騎手が、相手が順調なら勝利は厳しいとレース前にコメントするほどの強豪が相手でした。しかし、レースでは直線でビワハヤヒデをかわし、誰もが目を疑う半馬身差勝利。1年ぶりのレースにもかかわらず、有馬記念という最高の舞台で復活したのです。このように傷ついても傷ついてもよみがえる強さと弱さを併せ持つところがファンにはたまらない魅力になったのでしょう。

2013年に23歳で息を引き取った後も、相変わらずのイケメンホースNo1に君臨するトウカイテイオー。彼を超えるイケメンは果たしてこの先登場するのでしょうか。