2007年、64年ぶりに牝馬ダービー制覇を成し遂げたウオッカ。
3馬身差でゴール前は流しての圧勝でした。展開が向くといったことではない、圧倒的な実力の差で勝利したウオッカの産駒ともなれば誰もが期待するところ。
鞍上の四位洋文騎手に「騎手を辞めてもいい」とまで言わせた最強牝馬ウオッカの産駒成績を、血統を振り返りながらご紹介しましょう。
ウオッカの父・母はどんな馬?
ウオッカの父、タニノギムレットはダービー馬です。
このレースの後秋シーズンに向かう途中で浅屈腱炎を発症し、無念の引退となりました。
タニノギムレットの父、ブライアンズタイムはフロリダダービーを制し、プリークネスステークス2着と活躍しました。
ブライアンズタイム産駒は、仕上がりは早く、活躍する馬は早い時期に頭角を現すことが多いのが特徴です。
また、丈夫で息が長く活躍する馬が多く、中央でピークをすぎても地方に転厩して第一線で活躍する馬も少なくありません。
そして、タニノギムレットの母タニノクリスタルは、中央競馬で900万下での勝利があり、40戦3勝と長く活躍した馬です。
タニノギムレットの半兄には1000万円下で勝利したタニノディオーネが、半姉には500万下で勝利したタニノカリスがいます。
ウオッカの母タニノシスターは、競走馬として中央競馬で33戦5勝と堅実に走りました。
タニノシスターの父ルションは、ムーラン・ド・ロンシャン賞(G1)を勝利したマイラー。
また、5代前にはスペシャルウィークなど名馬を生み出したシラオキがいます。
ウオッカの血統の可能性は?
ブアイアンタイムズ産駒にはタニノギムレットのほかにナリタブライアン、マヤノトップガンという錚々たる名馬が名を連ねるにもかかわらず、
産駒の種牡馬としての成績はナリタブライアン、マヤノトップガンともぱっとせず、初年度からウオッカを輩出したタニノギムレットに期待が集まりました。
ただ、種牡馬としてのタニノギムレットは、ウオッカの他にハギノハイブリッド、オールザットジャズなど重賞馬はいるものの、G1馬はウオッカだけ。
リーディングも最高位10位と、種牡馬として好成績の父と比較すると少し寂しい結果になっています。
また母タニノシスターもウオッカ以外の産駒は500万下を勝利した全妹セレブリティ、半弟ラテラルアークがいる程度。
ウオッカはまさに突如として現れた才能といってもよいでしょう。
ウオッカはなぜヨーロッパにいる?
ウオッカは目指していたドバイワールドカップの前哨戦、マクトゥームCR3(G2)で8着に敗れ、そのレースで鼻出血を発症していたことが判明して引退を余儀なくされました。
角居勝彦調教師が「世界を目指すには血統を変えないといけない」という判断のもと、そのままアイルランドで繁殖生活に入りました。
そして、2011年~2013年までシーザスターズと交配し、産駒を日本に輸入しています。
シーザスターズはアイルランドの競走馬でイギリスクラシック2冠とフランス凱旋門賞(G1)を勝利しました。
産駒は夭折したボラーレや未勝利を突破できなかったケイスバイケースとファンには残念な結果が続きましたが、タニノアーバンシーがようやく未勝利を突破。
続く500万下でも2着と善戦しました。息の長い血統なので、今後も楽しみです。
また、2015年にはフランケルと配合した牡馬が誕生。
フランケルはイギリスでG1 10勝、生涯成績負けなしの名馬で、種牡馬としても初年度産駒からG1馬38頭と活躍しています。
さらに2016年にはインヴィンシブルスピリットと配合した牝馬が誕生。
インヴィンシブルスピリットは現役時代こそ人気薄から持ってきたG1 1勝にとどまりましたが、種牡馬としては初年度産駒から高い勝ち上がり率を確保。
後継種牡馬も活躍しており、血統的にも楽しみが広がります。
日本のファンとしてはディープインパクトやキングカメハメハとの配合が見られず残念な気持ちですが、産駒が世界で活躍する日を期待せずにはいられません。
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